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エンドトキシン試験とは

エンドトキシンとは

エンドトキシン

エンドトキシン(内毒素)は、グラム陰性菌が死んで溶菌するときや機械的に破壊されたとき、また菌が分裂するときなどに遊離されるパイロジェン(発熱物質)の一つで、狭義には活性本体であるグラム陰性菌外膜の構成成分LPS(リポ多糖)のことをいいます(図1参照)。

  • 図1 グラム陰性細菌表層の模式図
    出典:棚本憲一:臨床と微生物, 16, 58(1989)

エンドトキシンは、ごく微量で発熱などさまざまな生体反応を引き起こすことが知られています。
また加熱に対して安定であり通常の滅菌ではその活性は失われないので、乾熱滅菌等で不活性化する必要があります。

構造

エンドトキシンの構造は大きく分けて、外界に向けて大きく突き出たO抗原多糖、それに続いてコア多糖およびリピドAと呼ばれる脂質部分の3部分から構成されます。
このうちO抗原の糖鎖は細菌の種類によって構造変化が最も大きな部分で、これによって菌それぞれが特異的な免疫反応を引き起こします。
細菌の種類によって最も変化の少ないのがリピドA部で、エンドトキシンの示す生物活性中心です。(図2参照)
  • 図2 エンドトキシンの化学構造

生物活性

エンドトキシンが体内に侵入すると、マクロファージなどが活性化され蛋白質、酸素ラジカル、脂質の3つのメディエーターを産出します。
これらのメディエーターはそれぞれが独立に、または共同して働き種々の効果をもたらします。
メディエーターがコントロールされている場合は適度な発熱、免疫系全体の活性化や殺菌作用など有益な作用がもたらされます。
しかしメディエーターが過剰に産出されてしまうと表1に示すような有害な作用を引き起こします。

  • 表1 エンドトキシンの生物活性

またエンドトキシンの認識機構や情報伝達経路が明らかにされてきました。(図3参照)

  • 図3 LPSのシグナリング

β-グルカン

(1→3)-β-D-グルカンは酵母・キノコ・カビ等の真菌類や、藻類および高等植物の細胞壁構成成分として自然界に広く分布しています。
エンドトキシンとは異なり発熱のような急性の毒作用はありませんが、多彩な生体活性を持つほか、体内に入った(1→3)-β-D-グルカンがエンドトキシンの作用を増強するという報告もなされています。
また臨床の現場では深在性真菌感染症の早期発見のために測定されています。

参考文献

  • Tanaka, S.,et al.:Carbohydr.Res., 218:167-174(1991)
  • Tanaka, S. and Iwanaga, S.:limulus test for detecting bacterial endotoxin. Method in Enzymology, 223:358-364(1993)
  • 棚本憲一:臨床と微生物, 16, 58(1989)
  • 佐々木 次雄、棚元 憲一、菊池 裕/編:新GMP微生物試験法 第3版, じほう(2016)
  • https://www.glycoforum.gr.jp/glycoword/immunity/IS-A01J.html
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