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エンドトキシン試験とは

第十八改正日本薬局方におけるエンドトキシン試験法:試験法概要1

光学的定量法

概要

日本薬局方におけるエンドトキシン試験法を実施するに際して、比色法または比濁法の精度と有効性を保証するため、予備試験として検量線の信頼性確認試験および反応干渉因子試験を行う必要があります。
試験は、通例37±1℃で行います。

予備試験

検量線の信頼性確認試験

ライセート試薬は各ロットにつき、使用する前に、また試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験条件の変更があるときに行います。

【操作法】

    • 用いるライセート試薬に規定されているエンドトキシンの濃度範囲で、少なくとも3種の濃度のエンドトキシン標準溶液を調製し、これらの各濃度につき3回以上測定して検量線を作成します。

【判定】

    • 作成した検量線について、直線回帰分析を行い、相関係数 r を求め、その絶対値|r|が0.980以上であることを確認します。

反応干渉因子試験

反応干渉因子試験は、試料溶液について反応を促進または阻害する因子の有無を調べる試験です。
本試験は、試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験条件の変更があるときにも行います。

ライセート試液と試料溶液の混液のpHが6~8であることを確認してください。

【操作法】

    • 表1に従い、A, B, CおよびD液を調製して、試験を行います。

      表1

      エンドトキシン濃度  被添加液 試験管またはウェルの数 
      A*1 0 試料溶液 2以上 
      B*2 検量線の中点濃度*2  試料溶液 2以上
      C*3 3濃度以上  エンドトキシン試験用水 各濃度、 2以上 
      D*4 0 エンドトキシン試験用水 2以上
      *1
      試料溶液のみ(試料溶液のエンドトキシン濃度測定用)。最大有効希釈倍数*を超えない範囲で希釈することができる
      *2
      A液と同倍数で希釈された試料溶液で、検量線の中点または中点付近のエンドトキシン濃度になるように標準エンドトキシンを添加したもの
      *3
      検量線の信頼性確認試験で用いた各種濃度のエンドトキシン標準溶液(検量線作成用)
      *4
      陰性対照。エンドトキシン試験用水のみ

      最大有効希釈倍数について*
      最大有効希釈倍数(試料溶液中に存在する反応干渉因子の影響を希釈により回避できるとき、許容される試料溶液の最大の希釈倍数)を次式によって求めます。
      • 最大有効希釈倍数
      エンドトキシン規格値:
      投与量に基づいて規定されており、K /M に等しくなります。ただし、K は発熱を誘起するといわれる体重1kg当たりのエンドトキシンの量(EU/kg)であり、M は体重1kg当たり1時間以内に投与する注射剤の最大量です。ただし、注射剤が頻回又は持続的に投与される場合は、M は1時間以内に投与される注射剤の最大総量とします。

      試料溶液の濃度: 試料溶液の濃度の単位は、
        • エンドトキシン規格値が
          • 質量当たり(EU/mg)で規定されている場合mg/mL
          • 当量当たり(EU/mEq)で規定されている場合はmEq/mL
          • 生物学的単位当たり(EU/単位)で規定されている場合は単位/mL
          • 容量当たり(EU/mL)で規定されている場合はmL/mL です。

      すなわち、エンドトキシン規格値に試料溶液の濃度を乗じることにより、試料溶液1mL当たりのエンドトキシン規格値(EU/mL)が算出され、これを検量線の最小エンドトキシン濃度(λ、EU/mL)で除することにより最大有効希釈倍数が求められます。

【回収率の算出方法】

    • B液で測定されたエンドトキシン濃度とA液で測定されたエンドトキシン濃度の差に基づいて、B液の添加エンドトキシン濃度に対するエンドトキシンの回収率を計算します。
  • 回収率

【判定】

    • 回収率が50~200%の範囲にあるとき、反応干渉因子は試料溶液に存在しないと判定します。

      試験適合要件
      • C液で作成した検量線の相関係数:|r| ≧0.980
      • D液:設定されている空試験の限度値を超えないか、または検出限界未満である
      ※注:
      反応干渉が認められるときは、試料溶液から反応干渉作用を除くために、試料溶液または希釈した試料溶液につき、適切な処理(ろ過、反応干渉因子の中和、透析または加熱処理など)を施すことができます。
      因子の中和、透析または加熱処理など)を施すことができます。
      ただし、処理によりエンドトキシンが損失しないことを保証するために、エンドトキシンを添加した試料溶液に当該の処理を施すことにより、
      上記の試験に適合する結果が得られることを確認する必要があります。

定量

【操作法】

    • 表1に示すA, B, CおよびD液を調製し、予備試験:反応干渉因子試験に準じて操作します。

【エンドトキシン濃度の算出方法】

    • C液で作成した検量線を用い、A液の平均エンドトキシン濃度を算出します。

      試験適合要件
      • C液で作成した検量線の相関係数:|r| ≧0.980
      • B液で測定されたエンドトキシン濃度とA液で測定されたエンドトキシン濃度の差に基づいて、B液の添加エンドトキシン濃度に対する エンドトキシンの回収率は50~200%の範囲にある
      • D液:設定されている空試験の限度値を超えないか、または検出限界未満である

【判定】

    • A液の平均エンドトキシン濃度に基づき、被験試料のエンドトキシンの濃度(EU/mL,EU/mg,EU/mEqまたはEU/単位)を求め、その値が医薬品各条に規定されたエンドトキシン規格を満たすとき、被験試料はエンドトキシン試験に適合とします。
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